構造(性能)の重要性①
2006 / 03 / 20 ( Mon ) 今回は長くなると思います。
最終的には、構造計算の重要性について書きたいと思っています。 小難しい展開になるかもしれませんが、なるべく考えて書きますのでお付き合いください。 嘗て我が国は、欧米からウサギ小屋と揶揄されながらも、先人達は戦後の復興に寝食を忘れて努めてきました。 雨露が凌げれば的な住まいに関する考え方が優先したのは仕方がない事であり、狭いながらも楽しい我が家を実現してきた日本。 そして、天災は忘れた頃にやってくると言う避けられない現象を目の当たりに見た地震列島の日本。 これまでも多大な犠牲を対価として払い、緩和と規制を重ねてきました。 緩和として代表されるのは、面積に対する基準についてでしょう。 その一方で、建築物の安全性については何度となく改正されてきました。 新耐震基準然り、シックハウス然り、検査制度然りです。 また規制の中には、上記にあげたハード部分だけでなく、高齢者、身体に制限のある方への配慮、所謂ユニバーサル化といった様な、ソフトに目を向けたものもあります。 まだまだ欧米などに比べては後進国ですが…。 私は学生として建築を学び、社会人として建築の世界の住人として生きていますが、一貫して思っている事は、我が国こそが一番建築に関する法律が整備されており、最高基準の性能を求められていると思っています。 中国などは竹製の足場が多く見られますが、我が国では丸太の足場などは見なくなり、タイプは違えど鋼製のものとなりました。 私の記憶では、労働基準法が発端だと思います。違ったらごめんなさい^^; 以前書きましたように、幾度も震災に遭い、その重要性から建築基準法は改正されてきました。 それは建物の大小に関係がある訳ではなく、一遍にと言う訳ではないのですが順次執り行われてきた訳です。 ここでは、HPやブログの主旨から、木造住宅のお話をメインに取り上げていきたいと思います。 また『姉歯ショック』による構造の重要性から、細かくお話していく必要があると感じました。 さて、
木造住宅の三階建ては、2×4住宅が最初でした。
強度に優れているという事で最初の認可が下りたのですが、この決断は緩和と呼べるでしょう。 その後、在来工法が認可されました。その時にホールダウン金物(HD)等により、緊結する事を義務付けたのです。 在来木造は、柱と梁(横架材)によって骨組みを形成し、筋違い等の斜材により耐力壁にて強度を保ちます。 ここで言う在来とツーバイの意味する『強度』は、厳密に言うと違います。 中々例えに困りますが、在来工法の粘り(じん性)のある強度に対し、ツーバイは力に対し踏ん張った強度とでも言いましょうか。 つまり、2×4工法は枠組み壁工法といって、各所に配置する耐震壁でその強度を保つ物です。 四周ぐるっと回した、みかん箱のような物を想像すると良いでしょう。 外周壁だけでなく、内壁にも耐震壁を設ける事によって保持するので、窓などの開口は制限されます。 逆に在来の場合、基本組成は骨組みなので、開口部等の自由度は大きいのです。 また、枠に構造用合板を釘で緊結する為、施工中の雨などには困り、そういった点から結露に弱いと言う弱点があります。 ビッショリ濡れたり、結露状態(湿潤)が繰り返されると、枠に留めた合板が膨張し黴が生えるだけでなく、緊結により摩擦力を持たせた釘部分についても同じことが言えます。 つまり、膨張収縮を繰り返す事によって、緊結性、摩擦力が著しく低下するのです。 という事は、『強度』を拠り所としている同工法にとって、その根拠を揺るがす事態になりかねない訳です。 メリットは、工期の短縮と職人の質を選ばない事にあります。 端的に言えば、誰が造っても一定の品質が保てるという事でしょうか。 ここで言う一定とは、半端な職人・監理者は除外しています。 カナダより伝わったとされる一般的な2×4工法は、昭和40年代中後半、建設省(国土交通省)の政策により発展してきました。 それは、来るべき職人不足を鑑み、奨励してきたと言えます。 所謂木造在来工法は、職人の質・経験が問われた為、一人前になるのには何年もの修行期間とも呼べる見習制度がありました。 それに反して2×4工法は、熟練した職人に限らず施工する事が出来、規格化や工場による生産化を代替として、いわばその実績や経験を問わずに建築する事が出来た訳です。 素人でも出来ると揶揄した方も多かったのですが、実際は年季を明けなかった…、つまり途中で逃げ出したり、未熟な腕のまま、条件の良い所を渡り歩いた職人でも建築できたのです。 何の事はない。 意地悪な見方をすれば、行政にとって“想定内”の事だったはずです。 『職人?に技術の裏付がなくても建築できるようにした』のですから。 ※誤解のないようにお断りしておきますが、2×4工法の様な枠組み壁工法の特性を理解し、正しい規準に沿った建築を心掛けている工務店は多々あり、またその性能を否定する物ではありません。 いい加減な施工を良しとする、悪質なもしくは未熟な一部メーカーに対して警鐘を鳴らすものです。 スポンサーサイト
|
|
| ホーム |
|